スマートフォンが心身に与える影響
思索する時間を作って豊かな情操を
デジタル機器の長時間利用が昨今、問題になっている。特にショート動画から受ける影響は大きく、情報が取得できるなど利点もあるが、負の側面も取り沙汰されている。
昨今、読書離れが進んでいるとの報告があります。SNSや動画などのデジタルメディアへのシフト。また、仕事、家事、勉強などが忙しくて、時間が取れないといった理由で、読書の優先度が下がっています。
海外では子どものSNSを制限する動きが本格化
子どものスマートフォンの利用について、世界では様々な動きが見られます。日本では、子どものSNS利用を一律に禁止する法律はなく、フィルタリングと親の管理が軸になっています。
しかし、世界の流れは違います。初めて利用の禁止を打ち出したのはオーストラリアです。2025年12月に16歳未満のSNS利用を禁止しました。これにいくつかの国が追随しました。アメリカも複数の州で子どものSNS規制を始めています。また、フランス議会は15歳未満の子どものSNS利用を禁止する法案を可決しました。
このような規制、禁止をする動きは世界共通の価値観になり始めています。しかし、日本では若年層のSNS規制はまだ話が具体的になっていません。
SNSにはいろいろな弊害があります。どのような大人と繋がるか分からないという恐ろしさ、いじめや誹謗中傷の被害なども挙げられます。そして、ここで強調して取り上げたいことは、SNSに流れるコンテンツであるショート動画で、これらを見続けてしまうことによる悪影響です。
間断なく強い刺激が子どもの脳に与えられる
脳には嬉しいと感じる部分があります。快楽や興奮、意欲を高める際に、脳から出るのがドーパミンで、これが動画を見るたびに脳内に出てくるのです。この脳の仕組みを巧みに利用しているのが、ショート動画とも言えます。ショート動画を見すぎると、脳がどんどん刺激を求めるようになるのです。
さらに子どもがショート動画にハマってしまうのは、前頭前皮質という「我慢する力」を担う脳の部分は25歳頃まで完成しないと言われており、子どもは特に影響を受けやすいからだと言われています。
ショート動画はインパクトの弱い動画だと再生数が上がらないので、強い衝撃、印象が残るように工夫されています。そして、インパクトの強い動画がスマートフォンのおすすめに次々と上がってきます。そのような動画ばかり連続して見ていると、インパクトのない動画がつまらなく感じてしまうのです。とにかく刺激が強いので、考える力などが一気に落ちてしまいます。しかも、リラックスして見ているようで、脳は強い刺激にさらされています。このようなことが子どもの脳の発育に良くないと言われています。
さらには睡眠への影響もあります。メラトニンという眠くなるホルモンをスマートフォンのブルーライトが抑えてしまい、眠られなくなります。
他にも15秒や30秒の動画に慣れてしまうと、長い文章を読んで、じっくり考えることが苦手になりやすくなります。これでは勉強への悪影響であり、成績が下がる子どもも出てくるでしょう。
ショート動画で失った「ゆっくり考える」習慣
テレビや映画よりもショート動画を好む傾向は、「短い時間でより多くの情報や刺激を得たい」という欲求が根底にあるからなのかもしれません。タイムパフォーマンスという和製英語が拡がる世の中で、効率を求めることは現代では当たり前になってきています。こうした生活スタイルが習慣化されると、物事に時間をかけて「じっくり見聞きすること」「ゆっくり考えること」をしなくなってしまいます。まずは思い切ってスマートフォンから離れてみることが大切で、そこから得られることは多くあるでしょう。
当然、子どもの脳への影響においても、この〝短時間で情報を処理する習慣〟は良いことではありません。自分の頭を使ってじっくり深く考えることが脳の発達においても重要です。とにかく子どもの頃にはもっと読書をしたり、外で遊んで欲しいと思います。大切なのは少しでも思索する時間を作ることです。考えて心に落とし込む。引っ張り出してきて修正する。そのようなことの繰り返しによって、記憶し、整理し、論理的な思考力を身に付けていくのだと思います。また、知的で安定感のある情操が育つのだと思います。
世界の潮流は子どものSNS制限であり、ショート動画の悪影響を除くことです。日本もそのような政策を実行するべきだと思います。
