
私たちは神道と仏教を知っているのだろうか?
「あなたは何か宗教を信仰していますか」と尋ねられたら、どう答えますか。
「特に信仰していない」「自分は無宗教だ」と答える人は少なくありません。実際、NHK放送文化研究所が2018年に行った調査では、「ふだん信仰している宗教はない」と答えた人が62%でした。一方で、「日本人なのだから、神道や仏教は身近なものだ」「日本は神道の国だ」と考える人もいると思います。
では、私たちは神道と仏教について、どれほど知っているでしょうか。
神道には、仏教の釈迦にあたるような開祖がいるのか。神社でまつられている神々とは、どのような存在なのか。仏教にはなぜ多くの宗派があり、それぞれ何が違うのか。鳥居があるのが神社で、仏像があるのが寺――その程度なら分かっていても、両者の教えや成り立ちの違いを説明するのは、意外に難しいでしょう。
さらに歴史をたどると、話はそれほど単純ではありません。
現在、神社と寺院は別々の宗教施設として扱われています。しかし明治以前の日本では、神と仏は長い間、深く結びついて信仰されていました。神社のそばに寺が建ち、僧侶が神の前で経を読み、日本の神を仏教の考え方によって説明することもありました。神道と仏教が、初めから境目のはっきりした2つの宗教として並んでいたわけではないのです。
では、「日本は神道の国」という言葉は、どの時代の、どのような日本を表しているのか。仏教が伝わる前の日本には、現在と同じ形の「神道」がすでに存在していたのか。長く重なり合っていた神と仏は、なぜ明治になると分けられたのか。そして、制度の上で分離された後も、なぜ私たちは神社にも寺にも足を運ぶのか。
神道と仏教は、日本人にとってあまりにも身近です。そのため、知っているつもりになりやすい。しかし、身近な習慣の由来をたどると、そこには単純に「神道」「仏教」と分けることのできない、長い交流と変化の歴史が見えてきます。
本特集では、まず神道と仏教の基本的な特徴を比べ、両者が出会い、重なり、やがて分けられていった歴史をたどります。さらに2人の研究者の話を通して、神と仏の関係を改めて見つめます。
あなたが何となく抱いている「日本の宗教」のイメージは、果たして歴史の実像と同じなのでしょうか。
